はじめに 塗替えをお考えの方へ
塗替えにはあらかじめ施主様も知識を持ちましょう。
施工業者とのコミュニケーションにとっても有効です。
知識を得ることの大切さ
塗り替えや塗装についていの「正しい知識」を得ることは簡単ではありません。情報社会では誤った知識や発信者により歪められた知識もみられます。そのなかから、どれが正しいかや、間違った情報であるかを判断することは容易でない場合もあります。
特に塗装工事では工程の初期段階である下地処理や、塗装工程・乾燥時間の確保など「施主様には分かりにくい部分」が多くみられます。
それらの知識について施主様が基本的な理解をなさっているのと、まったく知識を持たずに業者まかせで依頼するのとでは結果に大きな違いが生じることがあります。基本的な知識を持っていれば「手抜き工事を防げる」場合も多いのです。
知識を役立てるには
積極的に質問する
分からない点は遠慮することなく業者に質問してみてください。特に初めての塗替え工事では施主様が分からない点が多いと思います。専門用語だけの説明ではなく分かりやすい平易な説明を受けてください。専門用語を多用する場合には逆に知識不足の例もあります。分からない専門用語を連発するようならば、その専門用語について分かりやすく説明を求めてください。
工事が終わるまでの打ち合わせが大切
施工前の打ち合わせや施工中の業者とのコミュニケーションが大切です。塗装は作業直後よりも数年経過した時点で良否がわかるようになります。
「きれいになった・美しくなった」と喜んでいたら、わずか数年で塗料がはがれて「こんなはずではなかった」と言う様な事が起こり得ます。不適切な工程や塗料選択など原因は様々です。塗り方や塗装仕様に不手際があった場合、塗り替えで理想的な美観や耐久性が持続する例は多くはありません。
塗替えが必要かな・・・・と思ったら何をすれば良いの?
お家の様子を見たときにそろそろ塗替えが必要かな・・・とお考えになられる時期が来ると思います。適切な塗り替え時期の判断・建物の劣化状況に適した塗り替え仕様が必要です。
そのような時には、費用や発注先をご検討なされるためにインターネットや書籍を見たり、あるいはお知り合いの方ですでに塗替えをなさった方のお話をお聞ききになってください。
塗替え後の様子はいつ見れば良いの?
体験談をお聞きになられる場合には塗替え後、をご覧になられるのが理想です。
塗替え直後はどの職人さんが塗ったとしてもある程度の美観は保っています。塗替えの良否が現れるのは数年後です。
塗り方の丁寧さや塗料品質のグレードが数年経過すると一般の方でも良くわかるように変化してきます。塗替え直後に判断なされるのは容易ではありません。3年~5年経過しますと差異がはっきりとしてきます。
お家の今の様子を知るには?業者任せで良いのでは?
塗装の知識を得ることと同時に、お家の現在の状況を施主様が適切に理解なされることが大切です。 不適切な劣化診断により、必要ではない工事を行なわれないように注意してください。
例えばモルタル外壁やサイディングのコーキングの劣化はどのような家屋にも見られる現象です。長年放置すれば補修に大掛かりな費用が必要になる場合もありますが、劣化発生直後に大きな支障がでることは多くありません。
家屋を塗り替えるということは資産価値に影響することですから、施主様が知識を得るための期間は無駄にはなりません。業者まかせになさらずに基礎的な事柄を学びながら計画しましょう。
特に外壁のひび割れやコーキングの切れなどは一般の方でも注意深くご覧になれば発見できます。ご自分で家屋を点検する事もお勧めします。
塗替えのプランを気軽に相談するの?
塗装工事に際しては、施主様の立場に立って塗替えプランの相談に応じてくれる施工店に依頼できるかがポイントです。プロとしてのご提案が必ずしも施主様側の諸事情と符合するとは限りません。そのような時に気軽にご相談できる業者とのコミュニケーションが塗替えを成功させるポイントともいえます。
仲介業者が介在する場合には、思うように施主様の意向が反映されないのも塗り替え工事には起こりがちなことです。分からない点やご希望は遠慮なくご相談されて良いのです。
どんなことを相談すれば良いの?
たとえば外壁の汚れやカビなどが目立っているので美観を重視する塗料を希望するとか、モルタル外壁のひび割れが心配なので防水性を心配しなくても良い塗料を希望するなど、施主様が気になる点をお話になってください。塗替えによって結露や冷暖房費なども軽減できるのです。近年の塗料はさまざまな機能性を持っています。
塗替えで大切なものは?
宣伝がどのようなものであれ、最終的には現場の作業内容がその後の家屋の美観や耐久性を決定します。塗装における「手抜き」は一般の方にはなかなか分かりずらいものかもしれません。塗り立てを見ればどなたもその変化にうれしく感じられるでしょう。
その後美観が長く保てる塗替えであるか、わずか数年で【ムラ】や【ハガレ】が発現する塗替えかは、工程や作業時の環境によっても左右されます。
塗替えの失敗って手抜きだけなの?
思わぬ原因で剥離(塗料のハガレ)やツヤの減退・色の変化などの現象が起こりがちなものです。塗装とは本当は難しい作業なので専門的な知識と技術が必要です。
塗替えは【何回塗るか】や【安く塗る】も大事でしょうけれど、【知識を持ってどのような工程で塗るか】が大切だと思います。下地処理をおろそかにした塗りが、数年でムラだらけになるのは、塗装への知識が不足している場合もみられます。
知識は経験と伴にと考えるならば【知識不足による施工不良】は手抜きとは言い切れないかもしれません。しかしそのような理屈は発注者である施主様には通用しません。業者には「プロの塗装業者」として依頼しているのですから。
塗りなおせば直るの?
残念ですが高圧洗浄や下地処理をおろそかにした場合には、上から単に塗り重ねただけでは根本的な手直しができないのです。ですから丁寧な職人たちは塗りの作業だけではなく、下地処理をとても大切に考えています。上塗り塗料の内側のサビや微生物が再発しないために工事の初期の段階でいろいろと処理しているのです。
塗り替えの必要性
屋根や外壁は紫外線や風雨に直接にさらされています。
塗膜は年月を経て次第にその美しさと機能を失います。
塗装は永久的?
塗装の効果や美観は永久ではありません。時が経って再塗装することで塗料の持つ機能性を回復する必要があります。家屋は風雨や寒暖の変化などの気象条件にさらされています。そのため家屋の各部分は自然に劣化が進行してしまいます。
塗り替えは、下地処理をふまえた正しい工程で、新しい塗装の膜を与えることにより、外壁のひび割れを処理し防水性を高めたりします。また、新築時の家屋の美観の回復にも経済的な方法です。適切な時期に塗り替えることは家屋の寿命を延ばします。
新築時の塗料の性能と影響
新築現場の塗装工事では、耐候性に特に優れた塗料が用いられる場合は多くはありません。カビや藻に関しては塗料の中に含まれる添加剤が繁殖の養分となるため、防カビ・防藻の性能を持たない塗料を用いられた場合、塗装面の方位や立地条件により予想外に早い時期に微生物が発生します。
また、カビや藻の発生を抑制する添加剤の効果も半永久的ではありません。時間経過に伴い効果は減少します。その他にも塗料のツヤや色の保持性・弾性と呼ばれる塗膜の柔らかさなども変化します。また、塗料の機能性は塗膜の厚さと密接に関連します。
塗替えの時期
いつごろ塗替えをすれば良いの?
素材・施工内容・環境により、それぞれの家屋で異なります。
塗替えの時期が異なるのはなぜ?
家屋の立地条件や気候により塗装の劣化の状態は異なります。また、新築時の施工要領や工程間隔の影響もあとから発現してきますので一概には言えません。方角により劣化の状況に違いが見られたりします。家屋の構造上の問題から外壁にヒビが発生することもあります。
経済性と塗替えの時期
劣化の進んだ場合の塗装では、下地処理や工程の複雑さを伴います。費用の面でも影響してしまいます。塗装によるメンテナンスが不可能な場合には、部材の交換や大掛かりな改修が必要となる場合も予測されます。将来、塗り替えでの家屋のメンテナンスをお考えになられるならば、予想外の出費とならないように定期的に家屋の状況を点検しておくことが大切です。
大きく反りの発生した薄型スレート屋根や腐食の進行したトタン屋根などの場合には、塗装によるメンテナンスよりも葺き替えの方が長期的に考えて理想の場合もみられます。劣化状況に合わせメンテナンス法を選択することが重要です。
一般的な塗替えの時期
最初の塗り替えは新築後およそ10年くらいで行うのが理想です。高意匠性のタイル調サイディングの場合などには、新築後7年程度の経過でクリヤー塗装でのメンテナンスを行うと長期間にわたりサイディングの色調を維持することが可能です。
外壁や屋根などから雨水の浸入による雨もりが生じている場合などには、応急処置としてコーキングなどで対応しますが、雨もりの根本的原因を精査するには専門業者への依頼が理想です。
塗替えの周期
家屋の部位により劣化の進み具合は異なります。どの部分が一番いたみやすいの?
高品質の塗料を適切に施工すれば周期を延ばすことができます。配色も考えて塗料を選択する。
部位や方角によって塗り方を替える
塗り替えの周期は、家屋の立地条件や塗られた部分(方角)によって傷みの様子が異なってきます。紫外線の影響の強い南面の外壁や雨水を直接に受ける屋根などは塗り替え後に早く劣化が進行します。
そのため実際の塗替え仕様においては劣化の進行予測に応じて「塗膜厚を調整」したり」「塗り回数を増やす」・下地処理材を選択するなどの工夫をします。単に同じ塗り回数や同一の工程では経年後の方位別(部位別)の劣化症状には耐えられないのです。
メンテナンス周期について相談してみる
上記のような工夫は施工者の経験や施主様の考えるメンテナンス周期と関わります。このような点からも塗替えは単に色を替えたり所要の回数を塗り重ねれば良いという程度では不十分であるといえます。大切なことは施主様と施工者とのコミュニケーションです。一方だけの意思では家屋を長期にわたり健全に保つ塗替えは実現できないのです。
ただ塗れば良いという塗替えならば塗らない方が良い
塗替えでは下地処理の仕方や塗料の選択・塗装間隔などが大切です。知識不足や手抜き・激安価格などによる施工不良は家屋の外観や通気性を損なう場合があります。
工程の初期段階を省略しますとその後どのような塗り工程を重ねたとしても経年後に塗膜不良となる現象が生じます。軽度の退色から全面的なハガレまで塗膜不良の程度によっては、塗替えそのものが家屋の印象を損じてしまう結果ともなります。塗装工事は単にペンキを塗るという作業ではないのです。
木部や鉄部は早めの塗替えが必要
一般的に、木部や鉄部などは早めの塗り替え周期が必要となります。塗り替え後の経年劣化の様子を見ながら次の塗り替え周期を決めるのが良いでしょう。塗料の品質によっては色アセが早期に発生したり、青色の顔料や極彩色は比較的早い時期に色に変化が見られることもありますので配色も検討してください。
塗料の品質や塗りの回数によっても周期は変わる
また、塗り替えの塗料のグレードや塗りの回数によっても差異が見られますので、次回の塗り替えでは塗料の機能性を検討して施工すると良いでしょう。塗料のカタログや塗料メーカーのホームページなどの情報を活用してください。メーカーにより、塗料の価格や設計単価などもご覧になれます。
塗り替えで短い周期での塗装とは何年毎くらいか?
およそ5~7年くらいの周期です。
高級塗料は塗替えの周期を延ばすことができるか?
一般的に2液型の塗料は1液型と比較して耐候性に優れています。2液型のなかでもシリコン樹脂やフッ素樹脂の含有量の多い塗料を適切な工程で塗替えた場合には、次回までの塗替え周期を延ばすことができます。
ただしここで言う「塗り替え周期の延長」とはカタログや様々な宣伝文句で目にする「20、30年間は塗り替える必要が無い」といった事ではありません。
たとえ外壁塗料にさほどの劣化が目に付かなくても、その他の屋根や木部・鉄部は確実に劣化が一般の方にも目に付くようになります。
そのため家屋全体を塗装によるメンテナンスで20、30年近く放置するのは好ましくありません。その間にこまめな点検や部分塗装の必要性がうまれてきます。長い周期の場合でも「10年から15年以内に足場をかけて全体を点検・維持する」事が理想的です。
大げさな宣伝には十分に注意してください。塗装を熟知する者ほどそのような表現は使いません。また高級塗料を使用したとしても施工内容により塗料の機能性が発揮できない事も起こります。
劣化が進行している場合の塗装工程
また、塗替え時期が遅すぎた場合には部材の劣化が進行しています。そのため通常の塗替え工程では塗料の期待耐用年数に満たない時期に再度塗替えの必要性が生じます。塗装業者に家屋のメンテナンスの見積もりを依頼する場合には、部材の交換が必要な箇所がないか、あらかじめ確認する必要があります。
塗装工程のなかで、下地処理を進めていると予想外の部材の劣化に気がつく時が起こり得ます。そのような時には交換費用がどの程度の出費になるのか、あらかじめ追加分の見積もりを知ることが大切です。
劣化が進行している場合ほど仕上がりや耐久性に差が出る
たとえば、スレート屋根の既存塗膜の劣化が激しい場合や、鉄部の錆による侵食、木部の塗膜のハガレが目立つなどの場合には、塗る工程以前の段階(下地処理)に大きな作業量が必要となってしまいます。塗る工程以前の段階は一般の方には分かりずらく、また施工者が省略しようと意図したり、簡略化できるため「数年後の塗替えの良否」に大きく影響します。
下地処理の工程こそ注意して見る必要がある
新築工事の際の塗装工程と経年後の塗り替え工事での塗装工程では、大きく異なる点があります。それは、塗り替えでは既存の部材の劣化に応じた下地処理という工程が、必ず必要になるという点です。浮いているペンキをはがすことや、カビやコケなどの微生物の処理など、初歩的な下地処理をおろそかにはできない点です。
塗り替えでは、これらの必須工程を経て塗りの工程・乾燥時間の確保・次の塗り工程へと推移します。最初の下地処理がおろそかな場合には、その後の工程が正確であったとしても、有効になりません。
たいへん分かりやすい表現を例にすれば、屋根に発生したコケの上にどんな高級塗料を塗ったとしても、ツヤむらや密着不良が生じ早期に塗料がはがれます。高圧洗浄をおろそかにしたスレート屋根に、どんなに丁寧に塗り作業を施したとしても経年後には予想外の色むらや塗料のハガレが生じてしまいます。
下地処理はどうして省略されがちなのか
下地処理の必要性や作業の精度は、一般の方にはたいへんにわかりにくい部分です。部材の劣化が激しい場合には、塗り作業よりもはるかに時間を要することもあります。そのため、工期が短い場合や経年後の塗り替えのもち具合(耐久性)に関心のない施工者にとっては、もっとも省略しやすい工程です。
下地処理を省略したとしても、すぐにはその結果が露呈しない点もあげられます。
また、塗装工程の初歩となる下地処理という修業が昔と比べ軽視されている実情があります。理想的な塗膜を形成するためには、どの程度の下地処理や調整が必要なのか施工者自身が理解できていない場合もあります。
もし塗り替えが始まり、すぐにローラーを片手に塗り作業をしていればその塗り替えは施主様が期待なされるほどの美観も耐久性も持ち得ないものとなるでしょう。場合により下地処理には想像以上の時間と労力が必要になることをご記憶ください。適切な診断を受け好ましい時期に塗り替える事が大切です。
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ここが大切
塗り替えの注意点
家屋の立地条件の影響
海浜地区や温泉地帯などの特殊な環境では、塩害や腐食性ガスが発生します。また交通量と家屋に及ぼす振動との関連・工場の煤煙の影響なども考慮しなければなりません。
家屋の地理的な違いにより、年間の気温・湿度・日射量(紫外線の影響)・降雨量・積雪量・風力などの影響が異なってきます。
凍害について
寒冷地の凍害は、コンクリート中の水分凍結により体積が増え、膨張(9%くらい体積が増える)圧力でコンクリート組織が壊れ、ひび割れ・表面剥離など強度が低下します。また寒冷地でのサイディングへの凍害の影響も外壁の外観や強度と密接に関連します。
塩害とは?
塩害とは、塩化物イオンによりコンクリート中の鉄筋などの腐食が促進される現象。鋼材の伸びが下がり、断面減少により耐荷力が下がる。鉄筋のサビの発生による膨張はコンクリートに引っ張り力が起き、ひび割れを生じたり剥落が起こります。
業者の違い
塗り替えを依頼なされる業者が営業会社の場合には、工事を直接施工するのは下請けの塗装店となります。直接施工する業者へと発注する場合とは、施工店の実行予算が異なるために施工内容が異なるのが現実です。
施工条件の違い
また、同一の仕様(同じ塗料を用いて同じ工程で塗る)であっても施工者の塗料の希釈率や作業時の気温・湿度などにより塗装の性能に差異が生じます。
下地処理の違い
塗られる物の水分や錆・汚れ・微生物の付着状態によっても経年後の様子が変わります。下地処理の良否の違いは、塗料の品質や塗り手の技量以上に塗り替えの持ち具合に影響する場合があります。
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- 下地処理の大切さ
塗料や塗りの工程に関しての知識ばかりではなく、下地処理に関しての知識と実績を確認することがとても大切です。下地処理を怠ったことが原因で塗り替えの良否が左右される場合があります。
例えば、スレート屋根の塗替えでは、カビやコケを処理しないで塗装した場合には塗料のはがれや塗りムラが生じます。密着性の良くない塗り替えとならないように業者との打合せ・施工内容の書面による確認や実際の施工の様子をご覧になることを忘れないでください。
家屋の診断・塗り替えの診断
家屋の診断
塗り替えの第一歩は、お家の様子をお客様がご理解いただくことから始まります。
家屋の劣化は放置して止むものではありません。定期的な点検が大切になります。
家屋の診断のポイント|劣化の程度と塗り替えの時期
汚れ・ひび割れ・藻やカビの発生に注意しながら、既存の塗装の強度や劣化の程度を知ることが大切です。劣化の程度は塗膜表面の白亜化の段階から塗膜自体の浮きやハガレなどさまざまな段階に区別されます。
通常、色アセや退色は塗り替えにより復元できます。下地に大きなヒビ割れや破損箇所がある場合には、適切な下地処理が必要となります。劣化部分が塗替えによって維持できるか、あるいは部分的交換や全体的張替えが必要かなどを検討してください。
急いで塗替えをしなければいけない状態なのか、数年後に家屋全体をいっしょに塗り替えたほうが合理的なのか、各部位の塗り替え周期のバランスがそろうように使用する塗料の耐候性などを検討することが大切です。
家屋の診断のポイント|劣化の原因と塗り替え工法の選択
塗装の劣化はさまざまな要因に左右されます。例えば、汚れやカビの発生に関しては、原因が自然環境や塗料の通常の経年劣化による場合や、塗料自体が問題の可能性も考えられます。塗装の劣化は同一の塗料を使用したので同じくらい長持ちするとは限りません。複合的な要素が塗膜劣化に影響します。
既存塗膜の種類や家屋の構造上の問題点なども的確に判断できる事が塗り替えの工法の選択に必要となります。特に外壁、屋根の通気性は塗料や工法が適切でない場合には、結露や雨もりの原因となる場合も予測されます。塗り替え工事は「ただ塗れば良い」というものではなく、施工に際して経験と知識が必要とされます。
塗替えには家屋を保護して美観を保つはたらきがあります。何をどのように塗るかと言う点がメンテナンスに大きく影響します。また劣化の程度に応じた塗料の品質や性能を考慮して、塗り回数や塗付量の調整を検討してください。塗り替えを考える時には、劣化を放置した場合にどのような影響が考えられるのか、具体的な説明を受けてください。また、ご予算と塗替え周期の関連など、長期視点の塗替えプランが必要です。
新築時の塗料
新築現場の塗装工事では、耐候性に特に優れた塗料が用いられる場合は多くはありません。カビや藻に関しては塗料の中に含まれる添加剤が繁殖の養分となるため、防カビ・藻の性能を持たない塗料の場合、塗装面の方位や立地条件により予想外に早い時期に微生物が発生します。
また、カビや藻の発生を抑制する添加剤の効果も半永久的ではありません。時間経過に伴い効果は減少します。その他にも塗料のツヤや色の保持性・弾性と呼ばれる塗膜の柔らかさなども変化します。また、塗料の機能性は塗膜の厚さと密接に関連します。
説明のしかた
メールまたはお電話にてアポイントをいただき、現地で説明いたします。
塗装によるメンテナンスがふさわしいか、部材の交換が必要かなどを説明いたします。
各種カタログや施工例画像により工法について説明いたします。
劣化状況や工法については、お客様がご自身の目で見てわかりやすいご説明をいたします。
デジタルカメラで撮影した画像をご覧いただけます。
家屋の現在の状況をご覧いただきながら対話形式でアドバイスをさせていただいております。
屋根の状況はくわしく説明いたします。
基材の劣化やカビの様子などについてはマクロ撮影した画像をご覧になれます。
総体的な点検をいたします。
家屋全般のご相談を承っております。
塗り替えに適した時期かどうか
屋根の劣化が気になる場合などには、足場が必要かどうかや、いっしょに外壁を塗った方がよいかなど施工範囲を決めることが大切です。
また、劣化の程度によっては塗装によるメンテナンスよりも張替えや交換の必要性が生じます。外壁のひび割れや屋根の劣化などが、早急な工事を必要としているかの判断が大切です。
注意して視る部分
特に、木部や鉄部の腐食には注意が必要です。クラック(ひび割れ)の程度やカビ・藻の発生を点検し、工法や塗料の種類・塗替え仕様について説明いたします。
コーキングの破断の進行程度やサイディングの色アセの程度などについて分かりやすくお話します。
画像によるわかりやすい説明
当店では、お客様のご了承を得られました場合、お家の様子をデジタルカメラで撮影させていただきます。普段目にすることが少ない2階の屋根や雨といの内側などの状態をご覧いただけます。
外壁のクラック(ひび割れ)の発生箇所や屋根の破損箇所の有無、カビ・コケなどの発生箇所の画像をみながら塗装仕様を説明いたします。
お客様がパソコンをお持ちの場合には、画像ファイルを保存していただいても結構です。 保存方式に関しましては適切なアドバイスをさせていいただいております。現況とメンテナンスの方法に関しての専門家としてのコメントを添えてリフォームの参考資料としていただいております。
ご希望のお客様には、現地点検箇所の画像をA4サイズの光沢紙に印刷して提示いたします。
工法についての説明
塗替えのプランには、工法を選別することがポイントとなります。家屋に関しまして施主様がお気になさっている点をお聞きして適正な工法をご提案いたします。
現在のお家の様子に適した塗料の選択と正しい工程が必要となります。各種カタログや見本板をご用意しておりますので、塗料に関しての知識や実際の質感やイメージを把握していただけます。資料や見本板は無料にて提示させていただいております。
必要に応じてサンプル塗料を取り寄せて見本塗装を行います。より広い面積に塗ってみることで塗り替え後のイメージをお知りになることができます
ご希望の場合には、カラーシミュレーションを行います。配色のご相談はお気軽にお申し付けください。
家屋には部位により特徴的な劣化が生じます
家屋の各部位はその素材により劣化の現れ方や進行の程度が異なります。
また方位や立地条件による劣化現象の違いがあります。
方角と地面からの高さを基準にして撮影した画像
各方位を上段・中段・下段に分けて劣化を診断いたします。
全体的な点検
総体的な点検を致しますので、サッシの建て付け不良や雨といのつまり・雨といの勾配の不具合による雨水の逆流や「たまり」などの様子もご報告いたしております。
内部のクロスの汚れや床・階段のキズ・和室白木の黒ずみや雨シミに関してなど、家屋全般のご相談を承っております。
屋根の状況はくわしく説明いたします。
微生物の発生やひび割れ・雪止めの錆の発生などを画像でご覧いただけます。 特にスレート屋根の変形やすき間については塗替えに際して大切なポイントですのでわかりやすく説明いたします。
屋根の状況画像
マクロ撮影
基材の劣化の様子などについてはマクロ撮影した画像をご覧になれます。
カタログについて
塗替えについてのご相談や見積りの際には、各種塗料のカタログを必ず見まし
カタログには塗料の性質や・機能性・工程などが記載されています
塗料の性能と設計価格を知る
メーカーを確認して、その塗料メーカーのホームページを見てください。塗料の基本性能や機能性がわかります。設計単価の表示やPDFでのカタログのダウンロードが可能なサイトもみられます。
設計単価表は各メーカーより施工業者も入手できます。その際には最新の単価表を提示してもらいましょう。設計単価表によりその塗料の標準的な材工価格がわかります。通常、下地調整費や養生費などは別途となりますので注意してください。
耐候性区分は?
塗料の耐候性区分を見てください。耐候形1種から3種までのうち、1種が優良な塗料です。色の持ち具合が持続して白亜化などの劣化の始まりが比較的遅い塗料です。一般的には、フッ素樹脂塗料やシリコン樹脂塗料となりますが、まれにウレタン樹脂塗料でも耐候形1種に属するものもあります。
塗料のタイプは?
水性か溶剤型かの区別や1液型か2液型の表示を見てください。水性は清水で、溶剤型はシンナーにより塗料を希釈します。また、1液型は塗料を水やシンナーだけで薄めて用い、2液型は塗料(主剤)と硬化剤を重量比率により計量してから水や溶剤で希釈するタイプの塗料です。さらに無機塗料や変性無機塗料の種別を確認してください。有機顔料とは異なる特徴を持ちます。
溶剤型の場合には、希釈するシンナーが専用シンナー(強溶剤)か塗料用シンナー(弱溶剤)であるのか確認してください。希釈に用いられるシンナーの種類により施工中の臭気が異なります。塗料の持ちにも影響する場合もありますし、既存塗膜の種類により選定が必要です。
アレルギーは大丈夫?
必要により塗料のMSDSなどを提示してもらってください。まれに有機溶剤の影響によりアレルギー反応を起こす方がおいでになります。事前に施工業者へお伝えください。そのような場合には、下地調整材から中塗り・上塗り塗料の全てを水系で施工することもできます。施工途中からの塗料の変更は困難な場合も考えられますので施主様はご家族全員のアレルギーについて考慮してください。近年では環境への配慮などから水性塗料による外壁塗り替えなどが増えています。
水性と溶剤型の塗料のどちらが優れているかは、塗料のグレードにより一概には判定できません。溶剤型塗料を使用する場合でも、臭気のおだやかな弱溶剤型が多く見られます。弱溶剤のにおいは灯油のような感じとなります。
見本板について
塗替えの配色は塗料の色見本帳だけでなく、大きめのサイズの見本板で確認することが大切です。
また見本板と実際の試し塗りでは色の見え方が異なる場合があります。
見本板で仕上がりの感じを確認する
下塗りに「シーラー」を使用した場合と「フィラー」を用いた時でも仕上がりの感じが異なります。
フィラーを適切な塗膜厚を確保しながら下塗りした場合には、シーラーの場合と表面のなだらかさや色あいの感じも異なって感じます。
フィラーの場合には、鎖骨材ローラーによる厚塗りは、ウールローラーを用いた場合と全く異なる形状となりますので注意が必要です。パターンを再形成する工法は、施工者により大きな差異が生じる場合があります。事前に見本板などに試し塗りを行い確認しましょう。
屋根用の塗装見本板
▼屋根用2液型フッ素樹脂塗料の見本板
(日本ペイント)
▼瓦屋根用2液型シリコン脂塗料の見本板
(水谷ペイント)